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栄光ある孤立

インディー大学生は語る

日本語版Wikipediaすら存在しないバンドを紹介

 

去年の秋頃から取り憑かれたかのように聴いている東欧のバンドを紹介します。

 

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概要

バンド名:Dubioza Kolektiv (ドゥビオザコレクティブ=手立てがない、どうしようもない集団という意味らしい) 

出身地:ボスニア・ヘルツェゴビナ(旧ユーゴスラビア

日本でのレーベル:Hostess Entertainment 

ディスコグラフィ:Dubioza kolektiv (2004) Dubnamite (2006) Firma Ilegal (2008) 5 do 12 (2010) Wild Wild East (2011) Apsurdistan (2013) Happy Machine (2016) 

 

出会い

去年の9月、ベルリンのTreptower Parkで行われた Lollapalooza Berlinで見たのがきっかけです。ちょうど初日のメインステージのトップバッターを飾っていたのがこのバンドで、次のCatfish and the Bottlemenを近くでみたいわたしは早い段階から陣取っておこうと興味もないこのバンドを観ることに。正直音楽はそこまで惹かれるものではなかったのですが、締めでシュトラウスを流して合唱させたり会場の煽り方が超上手くてバンド名すら知らない私でもとても楽しめました。帰国後、そういえばなまず(Catfish and the Bottlemen)の前に観たあの変なバンドはなんだったんだろうと思いググってみたらなんとボスニアヘルツェゴビナ出身!ドイツ人(だと思い込んでた)なのになんでMCが英語なんだろう...と思ってた謎が解けました。そのときちょうどアイラブユーゴというユーゴスラビアの本を愛読していた私がこのバンドにハマるまで時間はかかりませんでした。ちなみにこの本、めちゃくちゃ面白いです。

 

特徴

音楽:エネルギッシュ。一応レゲエということになっていますが、スカ、ロックに加え辛辣な歌詞で政治や社会をディスるパンク的な要素もあり、多民族共存を目指したユーゴスラビアのようなバンドです。メンバーも全員がボスニア出身というわけではないらしい。ジャンルに縛られないことこそがこのバンドのアイデンティティーとも言えるでしょう。日本人には馴染みのない、西欧の音楽ともかけ離れたバルカン半島のエキゾチックな音階の中毒性がハンパないです

歌詞:このあと紹介する曲からもわかるように本当に具体的な歌詞で政治を批判します。このことについてメンバーは、「結成当時ミュージシャンたちがオープンに政治を語るのはあまり一般的ではなく、それを変えたかった」「ミュージシャンが世界を変えられるわけるなんて幻想は抱いていないけど、人をインスパイアして問題を考えるきっかけを作ることはできる」とインタビューで語っています。最新アルバムHappy Machineではパイレートベイの創始者が逮捕されたことに関連したデジタル著作権問題について、ヨーロッパの難民問題について、トルコの反政府運動など題材がフレッシュです。

言語:英語で歌われている曲もあれば、ボスニア語で歌われている曲もあります。

メンバー:30~40代中年のおっさんたち、ベースのベドランがイケメン。あとツインボーカルツインボーカルと聞くとビートルズリバティーンズでおなじみ、イギリスの伝統芸能の濃厚なマイクシェアを連想してしまう人たちには残念ですが EXILEみたいな感じ。シェアはしないし、万が一したとしても怪しそうなバルカンのおっさん二人なのでキャーキャーするようなものであはありません。

その他:よく曲中にOpa~って言ってます。現地の言葉でワオって意味らしいです。

そこそこ知名度もあるバンドにもかかわらず路上演奏をやってる動画が何本かYouTubeに上がっています。

サンリオのキャラのようなバンドのロゴが可愛い。

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太っ腹なバンドで こちらのサイトから最新アルバムをフリーダウンロードできます。

 

おすすめ曲

①Volio BiH ボスニア

www.youtube.com

 

某海外掲示板でクロアチア人に歌詞を英語に翻訳してもらいました。ありがとう!

ロナウドボスニアのためにプレイしてほしい、プーチンオバマにフ○ラされたい、パレスチナの人が平和に暮らしてほしい、マックでケバブボスニアオスマン帝国の影響でケバブ圏らしい)が提供されてほしい、スウェーデン人がボスニア政治亡命しにきますように(本当は90年代にスウェーデンボスニア難民がたくさん押し寄せた)フェラーリを分割払いで買いたい、お金がたくさんあればいいのに、そしたら寿司とラム肉を毎日ランチで食うんだ」とふざけた願望が中心ですが.....サビがこんな感じ

Whoa whoa whoa 

Europe is coming

Now the forces are gonna beat us 

the world policemen

アメリカや西ヨーロッパに巻き込まれる小国ボスニアを嘲笑的に歌っているようです。ボスニアは若者の失業率がスペインやギリシャなんてものではなく、かなり深刻なんだとか。小さな国ゆえに日本で話題に上がることすらありませんよね。かといって彼らは母国を捨て、外国でいい暮らしをしたがる人たちにはもっと厳しいのです(次に続く)

 

 

②No Escape (From Balkan) 英語

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西洋人がバルカン半島の人たちに抱く偏見(ベドラン氏曰く:うるさくて、暴力的で、アグレッシブで、女性蔑視的で、権力や規則を嫌う)を混ぜながら、外国へ出稼ぎに行くひとをディスった曲。俺は典型的なバルカンの漢じゃない。でもラキヤ(バルカンの地酒)を飲んだらアナーキーな漢に戻っちゃう!DNAに刻まれてるんだ!って歌詞。

またベドラン氏は「いい暮らしを求めてディアスポラで暮らしても偏見や一般論からは逃げられない、という曲」だと言ってます。身体的な移動は可能でも、メンタルはバルカンのまま。日本を蔑むようなツイートをする海外在住ツイッタラーに対して憧れと共に抱く「お前は腐っても日本人!!」という私の気持ちを代弁してくれてる曲でもあります。

 

③ USA 英語

www.youtube.com

 

I am from Bosnia Take me to America とわかりやすい歌詞から始まるこの曲。祖国での生活に限界を感じ、グリーンカードがほしい!残酷な歴史(内戦のことでしょう)を忘れて石器時代から逃れたい!アメリカ人になるから!と一番で歌ったと思ったら、二番ではアメリカに失望し、こんなはずじゃなかったとボスニアに戻りたくなります。隣の芝生は青いけど、いざ隣の芝生に行ったら青く感じない。結局大事なのはその人のルーツであると締めています。吉幾三の『おら東京さ行ぐだ』の歌詞が憧れだけで終わってるのを考えると、う〜ん面白い。

 

 

エミールクストリッツァの映画を観て音楽が最高!と思った人にはぜひ聴いていただきたいドゥビオザコレクティブでした。この記事を読んで少しでも多くの人が興味を持ち、来日しますように。ホステスさんお願いします。